耐力とは
軟鋼などの一部の金属材料は明確な降伏点を示しますが、その他の金属においては一般的に明確な降伏点は確認しづらいです。
私も昔アルミを引張ったことがありますが、マジでわからないです。
そのため明確な降伏点が表れない材料の場合には、耐力という考え方を以てして降伏点と見做し、実用上の使える値を取り決めるわけです。
その定義とは
0.2%の永久ひずみが表れる点
のことであり、これを0.2%耐力と呼んでいます。
決めてしまえばあとは簡単、定義に従って応力ひずみ曲線の中に線を引けば耐力が求まります。
耐力の求め方
0.2%の永久ひずみが表れる点ですから、応力ひずみ曲線において0.2%ひずみの点を基準にして、そこからヤング率に等しい直線を引きます。
たとえば1000mmの試験片なら1002mmにまで変形した段階が0.2%ひずみの点です。
その点から、引張り曲線の立ち上がりの傾きと平行に直線を引けばいいのです。
その直線と、引張り曲線とが交わる点こそが0.2%耐力の点であり、その点をこの材料の降伏点と見做すわけです。
これで完成!
なぜヤング率の直線を引くのか
0.2%の永久ひずみが表れる点でありますから、言い換えると「荷重を除去後に0.2%ひずみが残る点」のことになります。
荷重を除去すると、材料は永久ひずみは残しつつも、弾性変形できる範囲内で元の形に戻ろうとします。この時の戻り具合はというと、やはり弾性変形なので、ヤング率に等しい傾きで元の形に戻ろうとするわけです。だからヤング率に等しい直線を引けば0.2%耐力の点が求まるわけですね。
なぜ0.2%なのか
その他の評価指数として0.1%耐力や0.5%耐力が使われることもありますが、0.2%耐力を用いることが一般的です。
それはなぜか?
なぜ0.1%でも0.5%でもなく、0.2%なのか?
それは炭素鋼の降伏点が0.2%ひずみ付近に表れるから、というのが一説のようです。
ようです、というのは、実は私も文献で確認したわけではないんですね。Wikipediaに載っていて、それを最近知ったというクチです。
なので信ぴょう性の保証はできませんが、ただ納得はしたのでこの説明を持ってきました。
つまり、軟鋼などのように明確な降伏点が表れる材料の場合でも、本来の塑性変形が起こる点は降伏点よりも前に存在するからです(=弾性限度)。
なので上降伏点の時点で既にひずみが生じておりそれが0.2%程度。そして鋼を基準にしておけば実用上わかりやすいので、鋼の0.2%を採用し他の合金の0.2%耐力の考え方とする。ただし脆性材料や延性材料などでは0.2%では足りない若しくは過ぎる場合があるため、そのような場合には0.1%や0.5%といった評価を用いる。
こう理解することで0.2%である理由が私としては納得したのでこの説明としました。
耐力はあくまで工業上の定義であるに過ぎないので、あまり0.2%であることに疑問を持つ人も少ないかと思いますが、中には気になる人もいるかと思いまして……
こういうのって気になりだすと結構モヤモヤが残りますからね。
本当のところどうなのかは何とも言えませんが参考までに。