弾性限度とは
定義は「材料が弾性変形をする限界の応力値」のことです。
この弾性限度を超えると材料の塑性変形が始まり、永久ひずみが残るようになります=材料が変形する。
なので言い換えると、材料の引張試験において荷重を除去したときに元の大きさに戻るような限界応力値のことである、とも言えます。
図で表現すると……
弾性限度内での引張
弾性限度を超えた引張
こんな感じです。永久ひずみが残るかどうか?がポイントです。
弾性限度と比例限度の違い
似たような性質として比例限度という考え方があります。
実際に機械的性質として非常に似ています、この違いを明確に測定することは困難です。
ただ考え方としての違いを説明すると、
- 比例限度:フックの法則が成り立つ/成り立たないの境界
- 弾性限度:塑性変形が起こる/起こらないの境界
です。
引張試験を行うと、材料はまず正比例して完全な直線として立ち上がる、この完全な直線を維持できている範囲が比例限度。
比例限度を超えると応力ひずみ曲線は完全な直線関係ではなくなるが、それでも荷重を除去すると原点に戻る範囲、それが弾性限度。
こう理解してください。
比例限度 - 弾性限度の間ではフックの法則が成り立たなくなるのに弾性変形をしているという、ワケのわからない状態が発生するわけですが、それについては少し掘り下げた記事を書いているので参考にしてみてください。
このため、考え方としては比例限度→弾性限度の順で発生します。
ただ実際には本当に微妙な違いなので、かなり近いです。上のイラストはあくまで理解のために大げさに描いたものです。
弾性限度の求め方
弾性限度は定義からして非常に測るのが難しい、というか実際には引張曲線上で明瞭な弾性限度を確認できるわけではないので、現実的には例えば0.02%の永久ひずみが表れる点を以てして弾性限度と定義し、値を求めます。
0.2%耐力を求めるときと同じく、今度はひずみ量0.02%のところを起点にしてそこからヤング率に等しい直線を引けば、その直線と引張曲線の交点が弾性限度となります。
注意したいのは、一般的な耐力として用いる0.2%よりもさらに一桁下の0.02%である点です。
かなり小さいひずみ量なので実際に応力ひずみ曲線上にその点をプロットするとこんなにわかりやすくはならないです、上の図はあくまで説明のために大げさに描いた図です。参考までに。