はじめに確認しておくと、一次不等式とはたとえば $x+1>2$ のような式のことです。式中に不等号($>,<,≧,≦$)が入っている式のこと。そして $x$ の次数が一次であること( $x^2$ や $x^3$ ではなく、$x$ 単体であるということです)。これが一次不等式です。
そして一次不等式であっても、通常の一次方程式(たとえば $x+2=3$ みたいな式)と同じノリで解いていけば大丈夫です。一次方程式であれば、与えられた式を変形して $"x="$ の形にまで持っていったら解いたことになりますよね。それと同じように、一次不等式は $x<$ や $x>$ の形に持っていけばいいのです。
ただし一つだけ気を付けておくべきポイントがあります。それは「マイナスをかけると符号が逆になる」ということです。これさえ気を付けていれば一次不等式は簡単に解けます。では早速例題を解いていきます。
問
解説
まずは両辺から $2$ を引きます。
$-x<1$
$x$ にマイナスがかかっているのでこれを消すために両辺にマイナスをかけます。ここで不等号を逆にしてください。
$x>-1$
これで完成。
こんな感じで、一次不等式にマイナスをかける時は絶対に不等号の向きを逆にしてください。
では次の問題にいきましょう。
問
解説
まずは両辺から $1$ を引きます。
$-2x>4$
$x$ に$-2$ がついているので、それを消すために両辺を$-2$で割ります。
$x<-2$
これで完成。マイナスをかける時に不等号の向きを逆にしたのと同じく、マイナスで割るときも逆にしてください。$-2$で割るということは$-\displaystyle\frac{1}{2}$をかけることに等しいので、割るときもマイナスにすべきです。
では次は普通の問題を。
問
解説
左辺の $-2$ を右辺に移動させます。
$3x≦x+2$
そして $x$ の項を左辺にまとめます。
$2x≦2$
あとは $2$ で割るだけ。
$x≦1$
これで完成。こうやってプラスの数をかけたり割ったりする時は不等号の向きは変えないでいいです。
では次は少し面倒な一次不等式を解いてみましょう。
問
解説
両辺の分数、$\displaystyle\frac{1}{3}$と$\displaystyle\frac{1}{2}$ が鬱陶しいのでまずはこれを取ります。
$2$ と $3$ の最小公倍数は $6$ なので両辺に $6$ をかけたら取れます。
$6x+2(x+1)≦12x-3$
次にカッコを取ります。
$6x+2x+2≦12x-3$
あとはこれをまとめていくだけ。
$8x+2≦12x-3$
$⇔-4x≦-5$
$⇔x≧\displaystyle\frac{5}{4}$
これで完成。
補足ですが、一次不等式の答えを書く時は一応、一次方程式の答えを書く時と同じように、最終的に左辺に $x$ を持ってくるのが良いと思います。最後の問題の場合であれば $\displaystyle\frac{5}{4}≦x$ とするのではなく、$x≧\displaystyle\frac{5}{4}$ と書く。こんな感じです。
どっちの書き方でも数学的に意味は同じなのですが、人間は左から右に文章を読むので、やはり $x$ は左辺に持ってくるのが望ましいと思います。自分が理解しやすくするためにも。